産業看護職でご活躍中の藤山味里様にインタビューさせていただきました!
産業医が普段接することが多い産業保健職の方ですが、このような形でじっくりお話を聞くことは初めてかもしれません、とても良い機会ですので色々と教えて頂きたいと思います!
−藤山様の産業看護職としての役割とキャリアを教えていただけますか?−
藤山様:産業保健のアウトソーシング事業を行なっている企業に所属し、産業看護職として、クライアント企業を担当していました。これまで担当した企業は、400名規模(情報通信業)、2000名規模(電気業)などがあります。業務や役割は主に以下です。
健康診断に関する業務
主に、健康診断の事後措置の対応をします。具体的には、従業員一人ひとりの健康診断結果を確認し、再検査や精密検査が必要な方に対しての受診勧奨や、個別の保健指導などがあります。
その他にも、産業医と連携しながら対応を検討したり、受診率が向上するよう啓蒙活動なども行なっています。
健康診断で把握した従業員の健康課題を見つけ、職場環境の改善に向けた提案を行うのも産業看護職の役割です。
メンタルヘルスケアや休復職支援
ストレスチェックの結果による個別面談や職場環境改善のための提案、休復職者の対応などを実施しています。
1事例にはなりますが、休職者が増加傾向にあった企業に対して、職場環境改善のための定例Mtgや不調者の情報共有などを行なった結果、休業者率が半減したことがありました。
さらに、就業中の方のメンタルヘルス不調にも対応しています。上長や人事部からの情報提供が多く、産業看護職が一次面談を担当し、面談の結果から産業医連携や関係部署への状況説明、受診勧奨などを行なっていました。
−産業保健職としてこれまで大変だったことはどのようなことですか?−
藤山様:大変だったことは、企業によって求められる産業保健が異なるということです。
特に1万名規模の外資系企業から、400名規模の日系企業に担当が変わった時は、従業員数も、企業風土も何もかもが異なり、戸惑ったことを覚えています。
当たり前のことかもしれませんが、企業や従業員によって抱えている課題は様々です。
課題ごとに組織へのアプローチは異なるので、どのような方向性なのかを確認しながら、各企業のフェーズに合った産業保健を提供するよう心がけています。
−従業員からもらって嬉しかった言葉はありますか−
藤山様:やはり、面談をして「健康管理室に相談にきてよかった」と言っていただけることが嬉しいですね。また、長期間メンタル不調に悩んでいた従業員の方が、復職し体調が安定していると報告しに来てくれた時は、やりがいを感じました。
−臨床の経歴を教えていただけますか?企業ではそのキャリアがどのように役に立ちましたか?−
藤山様:国立循環器病研究センターと東京医療センターの集中治療室に所属し、7年間看護師として働いていました。もともと大学生の時から循環器疾患に興味があって、病院ではより深く医療や看護を学ぶ機会を得られました。
企業でも、病院での経験は役に立っているという実感があります。
特に企業では高血圧や糖尿病などを患っている方に対して、保健指導や受診勧奨をする場面が多くあり、病態や治療のプロセスを把握しているため、わかりやすく説明するなどの個別支援が可能になっています。
また、臨床と産業保健での違いはありますが、病院で学んだ他職種連携が企業でも活かせていると感じます。
産業看護職は、産業医の他にも、人事部や上長などと連携を図りながら業務を進めていく必要があるので、周囲をよく見ながら適切な支援や情報提供ができるよう、心がけています。
−有名な病院でハードに仕事をしていたのですね、真摯に仕事に向かう姿勢は分野が異なっても必ず生きてくると思います。臨床経験は産業看護職に役に立っているということですね。そして、この度、健康経営エキスパートアドバイザーを取得されたと聞いておりますが、この資格はどのような資格ですか?−
藤山様:健康経営エキスパートアドバイザーは、企業が健康経営に取り組む上で重要なサポートをする専門家です。健康経営のメリットは、①採用促進、②離職防止、③企業イメージ向上にも貢献し、企業の持続可能な成長を支えます。
産業看護職として実際に活動に関わる機会があり、今回取得に至りました。健康経営エキスパートアドバイザーの試験は知識確認テストの他に、ワークショップがあり、ロールプレイを通して、より実践的な企業支援を学ぶことができました。今後は、健康経営についても企業の力になれるよう頑張りたいと思います!
−今後はICU看護師×産業看護職×健康経営エキスパートアドバイザーという3つの強みを活かして、産業保健コンサルタントとして仕事されていくとのことですが、今度の展望を教えてください!!−
藤山様:ありがとうございます!
産業保健コンサルタントは、健康経営の土台となる産業保健から企業をサポートし、コンサルティングサービスを提供する仕事です。
今後の展望としては、産業保健スタッフと企業(人事)の間で橋渡し的な役割を担っていけたらいいなと考えています。
このように考えたのは、産業保健サービス立ち上げの企業に関わらせていただいた経験からです。
当時は、短期的に課題を解決したい企業と、長期的な目線で産業保健を確立したい業保健スタッフで足並みが揃わず、難しさを感じました。
結果的には、人事部と協力し、課題の抽出や整理を行う中でなんとか形にすることができましたが、こういった経験から、企業と産業保健スタッフの間にはギャップが存在していて、産業医や産業看護職が”いる”だけでは企業の課題解決にはならないと考えました。
こういったギャップを埋め、企業と産業保健スタッフが目線を合わせて課題解決に向けて前進できるよう、取り組んでいきたいと思います。
−最後に産業看護職として大切にしていることはありますか?−
藤山様:従業員個人や人事部からの相談を”待つ”のではなく、自分から”出向くこと”を大切にしています。
企業によっては医療職というだけで、距離を感じるという方もいます。また、健康管理室の存在を知らない、中で何が行われているかわからないという従業員も多いです。
そのため、少しでも産業保健スタッフや健康管理室のことを知っていただき、安心して利用できるよう、日頃から自分発信でコミュニケーションをとることを意識しています。
COCORO GROUP株式会社
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